写真や画像の具体的な技法を学ぶ前に、画像に本来備わっている力を知る必要があります。なぜなら、写真や画像は、紙面の印象を決定する重要な要素の1つだからです。
情報は、言葉よりも写真や図版からのほうが伝わりやすい傾向にあることをご存知でしょうか。これを「画像優位性効果」と言います。商品カタログを例として挙げるとわかりやすいように、文字だけのデザインと比べて、写真が加わることで瞬時に情報を伝えることが可能となります。どれほど詳しく文章で説明するよりも、商品画像を載せるほうが、読み手の購入に影響を与えることができるのです。さらにディテール写真を追加するなど、写真や図版が増えれば増えるほど、商品の情報は受け取りやすくなります。このことから、写真や図版の最大の役割は「イメージを具現化すること」と言えるのです。
また、写真を同一紙面上に複数枚掲載する場合には、写真の組み合わせ方やサイズ、配置方法によって印象が大きく変わることを意識しましょう。写真同士の関係性で状況を暗示させる技法を「モンタージュ理論」と言い、組み合わせ方によって、多様な意味合いを生じさせることができます。この理論は、映像の編集技術に用いられてきた技法で、ホラー映画ではよく「女性のうしろ姿のカット」→「ナイフを持った男性の手元のカット」→「悲鳴をあげている女性の顔のアップ」の順に組み合わせることで、実際に起こったことを具体的に見せるのではなく、読み手に想像させるために用いられてきました。デザインにおいても、1つの紙面に複数の写真を配置する場合には、それらの関連性を意識しながら意味を生み出していくことが必要になります。どのように効果を作り出していくか、もしくは避けるのかが重要となるのです。