中世ヨーロッパの人びとは、人びとの五感を含む人体への興味を強くもっていたなどと考えられているようです。人間のもつ五感は絵画作品にも様々なモチーフとして登場するようになったそうです。視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚などと呼ばれる五感を実際に目に見える形で描写することは簡単なことではありませんが、時に中世の人びとは、人間のもつ五感を動物たちに照らし合わせて表現するようになったそうなのです。視覚→ネコ、聴覚→シカ、嗅覚→イヌ、味覚→サル、触覚→クモなどが、代表的な五感を表す生き物として知られています。その後は五感を表現する生き物たちから擬人像などが登場するようですが、作家たちが伝える人間の五感としては快楽などを意図するものでもあったようです。